天然痘の歴史について

ジェンナーが始めた種痘という予防方法がその後改良を加えられながら全世界に普及し、天然痘は1980年5月、WHO(世界保健機関)により根絶宣言がだされるまでに至りました。現在ではアメリカ、ロシアの一部の研究機関のみで、サンプルとして保存されているだけとなりました。今では自然界で見ることもなくなりました。

しかし今回の米国のテロ事件を機会に天然痘サンプルのテロリストたちへの流出が懸念されています。
抗体を作らせるのにはウィルスそのものではなくてもウィルスの抜けがらや病原性(毒性)を非常に弱めたウィルスなどでもよいのです。そこで実際には発病に至らないウィルスや細菌を予め人体に入れてやってその抗体を作らせておくというのが予防接種です。

接種する薬をワクチンといいます。ウィルスや細菌から作り、生きたものを生ワクチン、生物としての活性(活発なはたらき)をなくして作ったものを不活化ワクチンと呼んでいます。生ワクチンは接種が成功すれば一生効果が持続します。一方、不活化ワクチンはある期間で効果がなくなるので、追加接種が必要です。

天然痘の場合は、ワクチンの有効期間は3~5年といわれています。そこで、追加接種することにより、生涯免疫となるといわれています。

感染は口や鼻の分泌物や、膿やカサブタから起こり、およそ12日間(7~16日)の潜伏期間(感染しているが、症状の出ない期間)を経て急激に発熱します。倦怠感、発熱、頭痛といった症状を経て、2~3日後に特徴的な発疹が出現します。これは、主に顔、腕、脚に出現します。

 発疹は、少し盛り上がった丘疹から水疱ができ、少し濁り膿疱になり、その後乾燥し、黒っぽいカサブタになります。カサブタが取れたところは皮膚の色が落ち、薄くなります。正常に戻るのに何週間もかかり、一生残る「あばた」が顔に残ることもあります。
 発疹は顔面、頭部に多いが、全身に見られます。水疱性の発疹は水痘(水ぼうそう)の場合に類似していますが、水痘のように各時期の発疹が同時に見られるのではなく、その時期に見られる発疹はすべて同一であることが特徴です。治る場合は2~3 週間の経過が必要です。カサブタが完全にはがれるるまでは感染の可能性があり、隔離が必要になります 。

※水痘のほとんどの皮疹は小さく1-5mmですが、天然痘の皮疹は一様に大きく5-10mmです。また、天然痘は普通手のひらや足の裏にも存在しますが、水痘では皮疹は普通手のひらや足の裏に出ません。

 致死率はウィルスの種類によって違いますが、死亡原因は主にウイルス血症によるものです。その他の合併症として皮膚の二次感染、敗血症、気管支肺炎、脳炎、出血傾向などがあります。出血性のものは経過が良くないようです。